
INTERVIEW #18
松崎 誠司さん
おおいた林業アカデミー 非常勤講師
Interview with
a Forest Worker
曽祖父が耶馬溪の山を管理していたこともあり、幼い頃から山が身近にありました。
大学への進学を機に林学を学び大学院を経た後、静岡の「ふもとっぱら」で先輩と会社を立ち上げ、キャンプ場運営やアウトドア事業に携わってきました。
転機は、故郷・耶馬溪へUターンを決めた時です。人生の節目でいつも背中を押してくれる先輩から、「これまでの経験を生かして、教育の分野から地域に関わってみてはどうか」と声をかけてもらったことがきっかけのひとつでした。地元に戻ったばかりで人脈も十分ではない中、まずは自分にできることから始めようと、おおいた林業アカデミーの非常勤講師として林業人材の育成に携わるようになりました。

いま、僕には大きく2つの取り組みがあります。
ひとつ目は、育成です。
おおいた林業アカデミーの非常勤講師として、研修生への技能指導や、一般受講者を対象とした各種資格講習、技能検定に向けた指導などを担当しています。大分県林業研修所には年間100日以上通っています。もうすっかり常勤みたいになっていますね(笑)。ほかにも県内の高校でのチェーンソー講習など、若い世代に山の楽しさを伝える仕事にも携わってきました。
ふたつ目は、地域づくりです。
大分県林業研究会・中津支部「YABAKEI FOREST BASE」を立ち上げました。地域で林業を営む人や、おおいた林業アカデミーの卒業生ら約30人が集まり、現在は事務局長を務めています。ほかにも、地域の農協や生協と地元をつなぐ活動に参加するなど、林業だけにとどまらない地域づくりにも取り組んでいます。

子ども向けの体験学習では、「木を切るのは悪いこと」と思っている子がまだ結構います。「手入れして、使って、循環させていくことが、森にとってはいいこと」。まずそこを理解してもらうことから始めています。
だからこそ、まずは木に触れ、森に入ってもらうことが大事だと思っています。ふもとっぱら時代に全国のフェス会場で作ってきた木工キッズランドも、子どもたちに木の温かさや面白さを伝える場でした。いまはその経験を生かして、耶馬溪で森の公園づくりや林業体験の受け皿づくりを進めています。
ふもとっぱらで培ったのは、「間口を広げる」ことの大切さです。森を仕事にしたい人も、遊びに来たい人も、みんなが森とつながれる場所を耶馬溪でもつくりたい。チェーンソー競技の練習会なども、自主的にもっと広げていきたいと考えています。

林業は決して甘い世界ではありません。だから研修生には、技術だけでなく会社選びの見極め方も伝えています。ポイントは「安全管理の体制があるか」「ちゃんと指導してくれる人がいるか」の2つです。
山仕事は特に一朝一夕でできる仕事ではありません。せっかく育てた若手が林業を離れていかないように、働く人だけでなく、受け入れる企業側の意識も高めていく必要があると思っています。
大分県は全国でも有数の木材生産県です。それだけ林業の仕事が動いている土壌があるということ。ここに技術を持った人材がもっと増えてくれば、まだまだ大きな可能性があると思っています。

実家には約50ヘクタールの山林があります。長い間、本格的な手入れがされていなかった山を自分の足で徹底的に調査し、「これならいける」と昨年ようやく算段がつきました。
ふもとっぱらの協力もあり、静岡時代から縁のあるハーベスタとフォワーダーも耶馬溪へ。現在はそれらの林業機械も活用しながら、道づくりから着々と進めています。1人でやるには十分すぎるほどの広さですが、それがまた楽しいんです。

登山にもよく行きます。講義の中で登山の魅力を研修生に伝えたところ、「では連れて行ってください」と(笑)。昨年は研修生と数回、登山に行きました。

安全に対する意識はどんどん上げていきたいです。怪我をしないための技術という点では、チェーンソーの持ち方ひとつをとっても、安全で体への負担が少ない方法などを講義で伝えています。山で長く働き続けるための技術を伝えることは、講師として特に大切にしていることです。
そして、「楽しい林業、かっこいい林業」ということを伝えていくこと。安全で、技術があって、仕事としてしっかり収益を上げられる。そして「林業って、かっこいいな」と思ってもらえる。そんな仕事になれば、自然と人が集まってくると思っています。
人が集まり、技術が高まり、仕事が生まれ、その利益が地域にも還元されていく。そんな良い循環を、大分県の林業につくっていければと思っています。

おおいた林業アカデミー 非常勤講師
松崎 誠司さん
大分県中津市 出身
40代
静岡県で約20年間、林業・森林整備・アウトドア事業などに携わった後、故郷の耶馬溪へUターン。
趣味は登山と実家の山いじり。

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